休んでいるのに疲れが取れないのはなぜ? 心の疲労と休息の考え方
「休日はゆっくり過ごしたのに、疲れが取れない」
「何もしていないのに、気持ちが重い」
「休んでいると、何かしなければと焦ってしまう」
そんな経験はありませんか?
疲れというと、身体を動かしたことによる疲労を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、私たちは身体を動かしていなくても、仕事のことを考えたり、人間関係に気を遣ったり、将来について心配したりすることで、心理的な負担を感じることがあります。
今回は、公認心理師の視点から、心の疲れと休息について考えてみたいと思います。
① 身体は休んでいても、頭の中では働き続けている
例えば、休日に自宅でくつろいでいても、
「明日の仕事、大丈夫だろうか」
「あのとき、あんなことを言わなければよかった」
「これから先、どうなるのだろう」
と考え続けていることはありませんか?
こうした考えが浮かぶこと自体は、決して異常なことではありません。
ただし、仕事から離れている時間にも仕事上の問題を繰り返し考え続けることは、心理的な回復を妨げる要因になる場合があります。
つまり、身体を休めることと、心理的に仕事から離れることは、必ずしも同じではないのです。
② 「休まなければ」という思いが負担になることも
真面目で責任感の強い方ほど、
「せっかくの休日だから有意義に過ごさなければ」
「早く元気にならなければ」
「何もしていない自分はダメだ」
と考えてしまうことがあります。
本来は疲れを回復させるための休息なのに、いつの間にか「上手に休むこと」まで自分に課してしまう。
このようなときは、自分の中にある「〜すべき」という考え方に気づいてみることも大切です。
休息は、必ずしも何か成果を出すための時間ではありません。
何もしない時間があってもよいのです。
③ 心の回復には「自分に合った休み方」がある
休息というと、睡眠や横になることをイメージするかもしれません。
もちろん、十分な睡眠は大切です。
一方で、心理的な回復という観点では、仕事から離れて好きなことに取り組んだり、自分で時間の使い方を選んだりすることも役立つ場合があります。
例えば、
- 好きな音楽を聴く
- 近所を散歩する
- 家族やペットと穏やかな時間を過ごす
- 趣味に取り組む
- 何も予定を入れずに過ごす
大切なのは、誰かが決めた理想的な休日を過ごすことではなく、自分にとって負担が少なく、心地よいと感じられる時間を見つけることです。
ただし、疲労が強いときには活動を増やすことが負担になる場合もあります。無理に行動する必要はありません。
④ ACTの視点から考える休息
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、自分が大切にしたい価値に沿って行動することを重視します。
例えば、
「家族との穏やかな時間を大切にしたい」
「自分の健康を大切にしたい」
「仕事と私生活のバランスを取りたい」
という価値があるとします。
その価値に沿った行動は、必ずしも頑張ることや努力することだけではありません。
疲れているときに休むことも、自分の健康や生活を大切にする行動の一つです。
また、休んでいる最中に「こんなことをしていていいのだろうか」という考えが浮かんでも、その考えに必ず従う必要はありません。
「休んではいけない」という考えが浮かんでいることに気づきながら、休むことを選んでもよいのです。
⑤ 疲れが長く続いているときは
休息を取っても疲労感が改善しない場合には、心理的なストレスだけでなく、睡眠の問題や身体的な病気、服用している薬の影響などが関係していることもあります。
特に、強い疲労感が続く、日常生活に支障が出ている、気分の落ち込みや食欲の変化などがある場合には、医療機関への相談も大切です。
すべてをストレスや気持ちの問題として捉えないことも必要です。
最後に
「休んでいるのに疲れが取れない」
そんなときは、休み方が下手なのではなく、今の生活の中でどのような負担が続いているのかを振り返ってみてもよいかもしれません。
そして、休息を取ることに罪悪感がある方は、自分がどのような考え方に縛られているのかを見つめてみることも一つの方法です。
カウンセリングルーム優心では、認知行動療法やACTなどの心理学的なアプローチを用いながら、ストレスや不安、考え方の癖、日常生活での困りごとを一緒に整理していきます。
休むことも、自分を大切にする行動の一つです。
頑張り続けることだけが、前に進む方法ではありません。

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